私たち夫婦は2016年12月にマイクロ法人を設立しました。実態のある不動産賃貸業の合同会社で、社員は私たち夫婦のみです。定款の事業目的には「不動産の賃貸及び管理運営業務」を定めており、簡単に言えば大家業を営んでいます。以下では、法人設立までの道のりをご紹介します。
不動産会社に会った
2000年代に『金持ち父さん貧乏父さん』と『お金持ちになれる黄金の羽根の拾い方』という2冊の本に感銘を受けました。これらから多くを学びましたが、当時は具体的な行動には移せませんでした。2016年秋頃、不動産賃貸業の始め方に関する本を数冊読み、実践を決意しました。複数の不動産会社との面談を計画し、本で学んだ知識を基に物件の条件を絞り込みました。具体的には、木造の一棟物件で、都心ではなく東京駅から1時間半程度の場所で探すことにしました。妻の助言で水害リスクがある土地は除外しました。5社との面談を重ねる中で、3つの評価基準が固まってきました。それは知名度、新築か中古か、そして建築後の管理まで一貫して請け負ってくれるかという点です。
地味で堅実なところを優先
有名な会社は広告宣伝費が高いためか、利回りが低い傾向にありました。特にテレビCMを頻繁に流している会社は例外なく利回りが低く、そのため私たちは無名のローカル会社に注目しました。この業界では些細な誇張表現が見られる印象があり、担当者とその上司の誠実さ、売り急がない姿勢、長期的な信頼関係が築けるかという3つの観点で判断しました。「すぐに売れてしまいますよ」という営業トークには慎重な態度で臨み、傲慢な態度の担当者との2度目の面会は避けました。複数社の提案を比較したところ、各社で利回りの計算方法が異なることが分かり、無理のある計算と慎重な計算の違いも見えてきました。最終的に、地道で堅実な経営をしているローカル会社2社に絞りました。
新築物件を優先
中古物件は築浅のものから減価償却期間が終わったものまで幅広く存在します。中には減価償却済みの物件をリフォームして提案する会社もありました。サラリーマンだった私にとって、修理やメンテナンス費用の予測が難しいリスクは避けたかったため、建築後10年程度は大きな修繕の心配が少ない新築を選択しました。実際、建築から7年が経過しても発生した修繕は「台所シングルレバー水栓カートリッジ・パッキン交換工事」16,000円が2件だけです。入居者の退去時には細かな修繕は必要ですが、大きな問題は発生していません。結果として、手間のかからない新築という選択は大きなメリットとなりました。
建築後の管理まで一貫して請け負う会社を優先
賃貸管理を主業務とし、建築を副次的に行う会社があります。これらの会社は賃貸管理戸数の増加を重要な経営指標としており、建築・販売・管理までを一貫して行っています。自社管理という形態では、建築後の問題に対して責任を持って対応せざるを得ません。つまり、逃げることができないのです。この一貫した責任体制は、初心者の私たちに大きな安心感を与えました。また、最初の物件では「サブリース」方式を選択しました。利回りは若干低くなりますが、空室リスクを回避できることを重視したためです。
銀行の融資審査を通した
個人名で物件買い付けを入れた
私たち夫婦が選んだのは、建築中の木造アパート1棟(8部屋)で、価格は6800万円でした。この金額は銀行融資が不可欠だったため、融資先の開拓から始めました。最初のステップとして、不動産会社が準備した買付証明書に合意・捺印しました。この買付は「融資実行を条件とする購入」の意思表示であり、この段階では費用は発生しません。この手続きを経て、不動産会社の営業担当者が銀行の営業担当者を正式に紹介し、融資実現に向けて動き始めました。一般的に、銀行融資は不動産会社の紹介で進められ、初期段階の銀行とのやり取りも不動産会社が仲介役となって調整します。
銀行の営業担当者に収入と資産資料を提出
私は2016年時点で年収1600万円があり、3年連続で1300万円を超えていました。借入もなかったため、銀行の営業担当者は前向きな姿勢でした。提出書類は以下の通りです。
- 確定申告書(3年分)
- 所得税引き落とし済みの銀行通帳明細
- 源泉徴収票(3年分)
- 銀行通帳のコピー
- 終身保険の解約返戻金見込額が記載された画面のスクリーンショット
売買契約の締結(ローン特約付き) 銀行の営業担当者から融資事前審査の結果について連絡を受けました。ゼロ金利時代の恩恵により、金利0.75%、25年ローン、購入金額全額のフルローンという条件で本審査に進める見込みとなりました。
不動産会社とは融資本審査に必要な売買契約を締結し、手付金200万円を支払いました。契約にはローン特約が付いており、融資が承認されない場合は契約が解除され、手付金は返還される取り決めでした。契約は一旦個人名義で行いましたが、事前に銀行へ法人での購入を検討している旨を伝えていたため、後日の融資は法人として実行することができました。
不動産会社との初回面談から売買契約の締結までは23日間でした。
法人登記
法人登記する住所はバーチャルオフィスに
法人設立時の住所をどこにするかが課題でした。当時は賃貸住まいだったため自宅を本店所在地にできず、法人登記可能なバーチャルオフィスを利用することにしました。事前に銀行側にもバーチャルオフィスの使用について承諾を得ました。ただし、バーチャルオフィスでは融資を受けられない銀行もあるため、確認が必要です。
郵便物や宅配便は週1回まとめて自宅に転送され、来客があった場合も報告があります。私たち夫婦は入会金6,000円、年会費25,000円、郵便物転送費実費負担という格安プランを選びました。重要なポイントは法人登記が可能であることと、確実な郵便物転送サービスです。
顧問税理士を見つけた
不動産賃貸業に精通した税理士を不動産会社から紹介してもらいました。顧問契約の費用は契約締結後からの発生だったため、事前に気軽に相談できました。税理士も新規顧客獲得の一環として丁寧に対応してくださり、登記後の税務署への手続きもすべて代行していただきました。
定款をヒトデキで作成
合同会社の設立登記には定款が必要です。私たち夫婦を社員として登記すること以外は白紙の状態でしたが、不動産会社から「ひとりでできるもん」(通称 ヒトデキ)を紹介され、安価で簡単に定款を作成できました。決めるべき重要事項は以下の通りでした。
- 商号:当会社は、〇〇〇〇合同会社と称する。
- 目的:当会社は、次の事業を営むことを目的とする。1. 不動産の賃貸及び管理運営業務、2. 上記に附帯する一切の事業
- 本店の所在地:当会社は、本店を東京都〇〇区に置く。
- 社員の氏名、住所、出資及び責任は次の通りである。1. 金〇万円 自宅住所 有限責任社員 〇〇、2. 金〇万円 自宅住所 有限責任社員 〇〇
- 当会社の最初の事業年度は、当会社設立の日から平成〇年〇月〇日までとする。
法人代表印を作成
会社の商号が決まったら、法人代表印の作成が必要です。私たちは代表印と銀行印を最も安価な木製で作りました。8年経過した現在も問題なく使用できていますが、今後数十年の使用を考えるとチタンなどの金属製にすべきでした。木製印が割れたという話も聞きますし、印鑑の再作成は各方面への手続きが煩雑になります。これが唯一の反省点です。
資本金を振り込んだ
定款に記載した出資金を、私と妻からそれぞれ私の銀行口座に振り込みました。法人登記の際には、その通帳のコピーの添付が必要でした。
バーチャルオフィス所在地の所轄の法務局に行った
法務局には登記に必要な書類一式、登記すべき事項を記録したCD-R、代表印、収入印紙代を持参しました。郵送での申請も可能でしたが、その場で不備を指摘してもらえる対面での申請を選びました。実際には捨印の追加のみを求められ、10分ほどで申請手続きを完了できました。その後、14日で登記が完了しました。不動産会社と出会ってから法人登記が完了するまでは2か月と1日でした。
願いだけでは何も始まりません。具体的な行動を一つ一つ積み重ねることで、私たちはマイクロ法人の設立を実現できました。とはいえ、これは新たな挑戦の始まりにすぎません。次回は、法人設立から1年目の決算までの道のりについてお話しします。
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