私たち夫婦はマイクロ法人として現在4棟のアパートを所有しています。すべてサラリーマン時代に融資を引いて購入したものです。現在は2つの不動産管理会社と取引をしており、これまでに多くの学びがありました。今日はその経験をお話しします。
不動産管理会社は管理戸数が生命線
不動産管理会社にとって、管理戸数の増加は最も重要な経営指標です。業界紙には毎年の管理戸数ランキングが掲載され、前年比較で各社の成長状況を確認できます。
私たち夫婦は、特定エリアに特化し、強い競争力を持つ地域密着型の管理会社2社に委託しています。その1社は地域で50年以上の実績があり、多くのアパートに管理会社の札が掲げられています。自社の賃貸募集店舗を持ち、若手からベテランまで幅広い人材が在籍し、社員は皆、自然体で誠実な印象です。管理戸数は毎年着実に伸びており、社員一人一人が管理戸数の維持・拡大に努める姿勢が見られます。
一方で、少人数のファミリー企業で高齢化が進み、若手社員がいない管理会社には注意が必要です。このような会社は世間の常識から離れた考えを持っていることが多く、当事者自身がそれに気付いていないことがあります。入居者に迷惑がかかる可能性があるため、こうした会社は選択肢から除外しています。
また、定期的に候補となる管理会社と連絡を取り、その提案内容や実力を確認しています。これにより、現在の管理会社との話し合いの際に、具体的な代替案を示すことができます。
管理会社内のメカニズムを上手く活用する
管理会社には工事部、賃貸部、経理部、売買部、広報部、経営企画部など、様々な部署があります。賃貸部には私たち夫婦のようなアパートオーナーの窓口となる担当者がおり、この担当者は管理会社の変更を最も警戒しています。賃貸部は、アパートオーナー担当者、建物管理担当者、賃貸業者への営業担当者に分かれています。建物管理担当者は多くの物件を抱えているため、すべてを完璧に管理することは困難です。賃貸業者への営業担当者も同様の状況です。工事部はアパートオーナーとの接点が比較的少なく、業界では工事担当者を「職人」と呼び、一定の敬意を持って接しています。職人の判断には、アパートオーナー担当者も従わざるを得ないのが実情です。
そこでアパートオーナーである私の役割が重要になります。相続対策で建てた大家と異なり、サラリーマン大家は通常の仕事で培った論理的思考と交渉術を活かすことができます。私は担当者に対して、オーナーとしての満足点、不満点、管理方針を明確に伝えています。「管理会社の役割は、下請け業者の適切な選択とマネジメントです。不適切な場合は業者を変更して下さい。我々大家も同じ考えで、管理会社が不適切であれば躊躇なく変更します」と明言しています。担当者との主な関わりは3つあります。年3回の視察時、入居者が退去した時、そして設備の故障が発生した時です。
年3回の視察
アパートオーナー担当者には定期的に視察希望を伝え、一緒に設備点検を行います。空室がある時が最適で、室内点検も可能です。オーナーとして、清掃状態、雑草の状態、故障やひびの有無を細かく観察します。雑草の放置は頻繁に見られ、隣家からの植物のツルの侵入や果物の落下、洗濯物がエアコンの室外機に絡まるなどの見落としも多くあります。特に警戒しているのは放置自転車とゴミ捨て場の放置ごみです。これらは治安維持の懸念となり、入居者の退去につながる可能性があります。その場で担当者に指摘し、完了予定日と実施報告を写真付きで提出してもらいます。担当者も「オーナーからの指摘」という形で社内での報告がしやすいようです。時には抜き打ち検査も実施し、写真とともに「最後の管理人の訪問時期と状況」「オーナー担当者の最終訪問日」を必ず確認しています。
入居者が退去した時
入居者の契約期間中は室内確認が難しいため、退去後・清掃前が最適な確認時期です。使用状況や損傷箇所を確認でき、修繕計画の予測も立てられます。ベランダは特に注意が必要で、放置物やハチの巣がよく見つかります。一度、奇妙な白い卵状のものを発見しましたが、これはビーズクッションの中身でした。環境への配慮から徹底的な清掃を依頼しました。オーナーが立ち会うことで、費用負担の範囲も明確に確認できます。
また、次の募集の家賃設定や募集開始日、原状復帰工事完了見込み日、入居見込み日をアクションプランと合わせて詳細に確認します。帰宅後にはそれをメールで担当者に送信し、週1回のメールで現状報告をもらいます。予定と異なる場合は、その原因をしっかりと確認します。これはビジネスとしての姿勢を理解してもらい、担当者や管理会社の成長機会にもなると考えています。
設備の故障が発生した時
私たち夫婦の新築アパートでは大きな不具合は起きていませんが、水道レバーの故障が2件同時に発生したことがありました。工事部から送られてきた見積もりは項目が分かれておらず、詳細な明細を依頼したところ「他のオーナーは全員これで良いと言っている」との回答でした。私はオーナー担当者に「社長との直接対話を希望する。回答次第では管理会社の変更も検討する」と伝えました。その結果、オーナー担当者が経営管理部門と協議し、今後の工事窓口もオーナー担当者に一本化されました。もちろん、見積もりの明細と理由を確認したうえで承認しています。
このように、管理を任せきりにせず、適度に介入し、管理会社内のメカニズムを理解して上手く活用することが重要だと学びました。
買い急ぐのは厳禁
私たち夫婦は不動産管理会社が不動産物件売買も手掛ける会社と取引をしました。1棟購入すると、2棟目、3棟目と追加購入への意欲が増してきます。不思議と「何でもいいから買いたい」という衝動に駆られるのです。そんな時こそ、身近にブレーキ役となる人を置くことが重要です。私の場合、1棟目の融資がスムーズに通りそうだったため、同じ不動産会社に2棟目の打診をしました。今思えば信じられないような物件を勧められました。駅から徒歩30分で人口も少なく、将来的には過疎化が確実な場所。さらに、川のすぐそばで水害が起きる可能性が高い場所でした。それでも私は購入を考えてしまいました。しかし、買付証明にサインをする前に妻に相談したところ、強く反対され、我に返りました。
不動産会社には「買い急いでいないので、より良い物件があれば、その時で構いませんからゆっくり教えてください」と伝えました。すると驚いたことに、「実は昨日抑えたばかりの計画がある」と新しい物件を即座に提案してきたのです。「なぜ最初からその物件を提案しなかったのか」とかなり抗議もしました。この経験から学んだ教訓は、買い急ぐことは絶対に避けるべきということです。また、この件以来、妻の「水害リスクNG」という厳格な基準が確立されました。その後も物件探しは続きましたが、水害リスクは常にスクリーニングの段階で除外条件としました。複数の不動産会社とも面談しましたが、「妻の許可が絶対に出ないので水害の可能性がある物件は検討外です。そのような物件を勧めてきた場合は、以後の取引をお断りする」とまで明言しています。
このように、安心して任せられる管理会社を探すのも大切ですが、一緒に成長することも重要です。次は3棟目の新築アパートを購入した話をします。
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