私たち夫婦にとってマイクロ法人設立1年目は、すべてが初めての経験でした。マイクロ法人とはいえ、正式に登記された合同会社として、適切な費用管理が必要です。決算までに新築アパート2棟を購入し、多くの経験を積みました。この記事では、法人設立1年目の経験をお話しします。
法人として正しく費用を使う
創立費用の計上
法人設立前に支払った費用は15万円でした。当時の私たちにとって決して少額ではない金額でしたが、すべて税理士に報告し、創立費用として計上しました。7期目に累積黒字化を達成し、そのタイミングで創立費を償却できました。具体的な費用は以下の通りです。
- 不動産会社訪問や法務局への電車代
- 土地付建物売買契約の収入印紙代
- 定款作成の行政書士報酬
- バーチャルオフィス契約料金
- 法人代表印作成費用
- 法人登記の収入印紙代
給与
社員総会議事録として記録し、税理士に提出しました。
- 私(代表社員)に対しては無報酬とする。
- 妻(業務執行社員)に対しては〇年〇月より月額82,500円を支給する。
私はサラリーマンとしての給与があるため、マイクロ法人からの報酬は約半額が国税・住民税として徴収されます。累進課税の影響で実質的な利益が少ないため、無報酬としました。妻は専業主婦でしたので、配偶者控除の103万円の壁を考慮し、かつ住民税が発生しない年間99万円に設定しました。社会保険事務所には勤務実態を説明し、「社会保険加入資格なし」との判断を得ました。さらに、税理士には決算書類に「非常勤役員」である旨を明記してもらいました。社会保険事務所から毎年届く状況確認の書類は、必ず返送しています。
旅費規程
旅費規程を整備し、税理士に提出しました。不動産賃貸業は決して不労所得ではなく、現地視察、管理会社との打ち合わせ、銀行への報告など、外出の機会が多いのです。
- 出張日当:実費想定額をもとに、日額6,000円と設定しました。朝食後出発・夜帰宅を想定し、昼食1,500円、カフェでの時間調整1,000円、夕食2,500円、雑費1,000円です。4時間半未満の半日出張は3,000円としています。出張時には必ずA4用紙1枚程度のメモを残し、可能な限り写真も保存しています。
- 宿泊費:全国一律で1泊20,000円としました。宿泊を伴う出張はほぼ想定していません。
- 交通費:すべて実費精算とします。
自家用車使用貸借契約
個人所有の車を業務使用可能としました。所有アパートの視察、新規物件の見学、銀行での通帳記入など、必要に応じて使用します。業務使用分の走行距離に応じたガソリン代とETC料金のみを経費計上するようにしました。
通信費
自宅のWifiと個人用携帯電話について、税理士と相談の上、週末のみの業務使用を考慮して2/7(週2日)を法人経費として案分しました。
結局まとめて2棟購入
年収の何倍までなら借りられるのか?
2016年は銀行が不動産融資に積極的でした。「年収の何倍まで借りられるか」という質問に対し、銀行の営業担当者からは「ケースバイケース」という回答しか得られませんでした。具体的な計画を見て初めて判断できるとのことでした。そこで、最初の建築中木造アパート(6800万円)の仮審査が通ったタイミングで、追加1棟の融資可能性を打診しました。同じ不動産会社が土地を確保し、建築図面が完成したばかりの物件(8部屋、6700万円)があり、この案件も追加で持ち込み、総額1億3500万円のフルローンを目指しました。
自己資金を投入する覚悟
フルローンで土地と建物を購入できても、諸経費として約7%が別途必要です。不動産登記費用、火災・地震保険料、不動産取得税、銀行手数料などで900万円かかりました。この諸経費は私たち夫婦の貯金からマイクロ法人への貸付金として充当する計画を立てました。当時38歳で2000万円ほどの現預金があり、人生の転機としてリスクを取る時と判断し、実行に移しました。
- 土地と建物2棟分: 1億3500万円(銀行からのフルローン)
- 購入諸経費: 900万円(自己資金)
私たち夫婦のメインバンクは不動産融資に積極的で知られる銀行です。担当者は支店次長で、支店長の応援もあり、この金額のフルローンを実現できました。2棟とも金利0.75%で、1棟目は25年、2棟目は30年の返済期間です。2棟目が30年となったのは、劣化対策等級2(住宅が親子2代の50~60年持つ)を取得していたためです。
金銭消費貸借契約(通称、金消契約)
2棟の建築完成時期が数か月ずれたため、金銭消費貸借契約は2回に分けて行いました。銀行支店の会議室で、不動産会社の営業担当、不動産登記の司法書士、銀行の営業担当と私が集まり、書類作業を進めました。社判は必携アイテムです。これがないと住所、会社名、代表者名を何度も手書きする必要があります。1回目の契約は3月31日。銀行の決算締めのタイミングでしたので、営業担当者も成績に入れたかったのでしょう。念のため、書類の不備や印鑑漏れに備えて翌日も代表社印の持参を依頼されました。案の定、翌日に電話があり、当時勤務していた会社最寄り駅まで来ていただき、路上で押印するという貴重な経験をしました。
サブリース契約
不動産管理会社との契約は、通常管理かサブリース契約かを選択できました。不動産賃貸業の初心者である私たち夫婦は、空室リスクを回避するためサブリースを選択しました。購入した賃貸用アパートを不動産管理会社に一括で貸し出し、満室想定家賃の90%を受け取る契約です。一定期間は定額が保証され安心できますが、市況に応じてリース料が見直される可能性がある点だけが気がかりでした。8年経過した現在も減額はありませんが、10年目をめどに見直しの可能性を想定しています。通常管理で発生する退去時の修繕費用や入居者募集の広告費用も、このサブリース契約では不要です。
利回り
利回りは6.0%です。土地、建物、購入諸経費の総額1億4,400万円に対し、年間サブリース料が870万円となります。銀行への支払金利が0.75%なので、十分な利益率を確保できています。
マイクロ法人設立1年目は初めての体験の連続でした。事業の仕組みを作るまでは大変でしたが、一度軌道に乗ると労力は大きく軽減されました。次回は不動産賃貸管理会社とどのように付き合ってきたのかについてお話しします。
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